えんどうの特徴
えんどうの原産地は地中海沿岸から中央アジア地域で、古代ギリシャなどでも栽培されていたようです。(古代エジプトのツタンカーメン王の王陵の副葬品の中からえんどうの種が見つかり、古代エジプトでも栽培されていたことがわかっています。)
それらの穀物として多く栽培されていたものの中から、若さや用の品種が現れ、さらに16世紀頃にはむき実用の品種が普及し、世界中に広まっていったとされているようです。
日本への渡来は奈良時代に頃穀物として持ち込まれたのが最初とされています。また、現在のようなさやごと使用する品種は、江戸時代以降になってヨーロッパ諸国から伝わったようです。
えんどうの食効果
さやえんどうには、ビタミンA、ビタミンC、ベータカロチンやビタミンB、食物繊維などが含まれています。
主な食効果としては、美肌効果や利尿効果、便秘予防、コレステロールの吸収の抑制などに効果があるとされています。
うすいえんどうには、きぬさやえんどうの成分に加えタンパク質の含有も多く、その他にカルシウム・鉄・リンなども含まれているようです。
グリーンピースには糖質とたんぱく質、ビタミンB1・B2・Cや食物繊維などが多く含まれています。またインゲンと同じ『リジン』という必須アミノ酸を多く含んでいますので、アミノ酸バランスを整えることができます。ちなみに『リジン』には血管を丈夫にする効果や脳細胞を活性化させる働きがあるとされています。
えんどうの由来
『豌豆』の『豌』(もしくは『宛』)という字は、「曲がる」「曲がりくねる」などの意味があり、蔓が曲がりくねって延びる豌豆の姿からこの字を当てたとする説と、「曲がった眉は美しい」から「美しい容姿」のことを示し、豌豆の若ザヤは美しく綺麗なのでこの字を当てたとする説があるようです。
「きぬさや」の由来
えんどうの品種には未成熟の若さやを食するものと、その中の豆だけを調理して食べるもの、成熟した豆を乾燥して使用するものがあります。未成熟の若さやを食べる種類の中には鞘が小さめの『きぬさやえんどう』や大きめの『オランダさや』、他のものより糖度の高い『さとうえんどう』などがあり、鞘の中の豆だけ食べる種類には『グリーンピース』があり、別称として『実えんどう』などと呼ぶこともあります。また、鞘ごと食べられる『スナップエンドウ』は『実えんどう』の仲間に入るようです。
えんどうの仲間
さやえんどう
未成熟の若さやを早取りしたもので、特に鞘の長さが5~6センチほどのもの。『さやえんどう』の仲間のなかで一番柔らかく、中国、台湾からの輸入物も含めると、一年中市場に出回っています。国内産地は鹿児島、和歌山、静岡福島、千葉、岩手、青森など、時期によって主産地も変わります。また、様々な地方で栽培されているので、その土地のによって、『サヤブドウ』『ブドウマメ』『サンガツマメ』『ブンズ』などの呼び名で呼ばれているようです。
関東地域では一般的な『さやえんどう』ですが、関西地域ではむしろ『オランダさやえんどう』のほうが一般的のようです。また、正月の時期に出荷される『きぬさや』は栽培適地が限られていて、出荷量も少なく単価が上がるので、『成金豆』などといわれることがあるようです。
オランダ豆
オランダ豆(オランダサヤエンドウ)は、昭和初期にカナダから導入された品種です。現在流通している大莢種の大半は『オランダ豆』が占めているようです。鞘の長さが15センチ以上になり、比較的柔らかく、バター炒めなどで食べるとおいしいようです。関西中心に流通しているようで、関東では余り一般的ではないようです。
さとうざや
『豌豆』の仲間の中でも糖度が高く、鞘は厚くて外から見て豆の形が分かるほど豆自体が大きい。サヤごと食べることができ、サクサクとした食感があります。『さやえんどう』は中の豆が小さいので、もっと大きな実が付く品種が市場のニーズとなり、品種改良されたものだそうです。
グリーンピース
えんどうまめの仲間。完熟する前の豆をむき実にして使用するよう品種改良されたもので、『実えんどう』とも呼びます。(スナップエンドウもグリーンピースと同じ『実えんどう』の仲間です。)鞘ごと出荷されるものとむき実にしたものが出回ります。
購入する時に、さやの色が黄色くなったものや黒い斑点状のものが出たものがあっても、中の豆は十分使えることが多いので、剥いてから確めるようにしましょう。また、さやから豆を取り出すと鮮度劣化しやすいので、調理する直前に取り出したほうが良いようです。
うすいえんどう
グリーンピースと同じ未成熟の実を使用する実エンドウの一種で(鞘は食べられません。)、関西地域を中心に流通、消費されているようです。
甘みが強く、加熱調理するとほくほくとした食感が特徴的で、卵とじや豆ご飯として調理されることが多いようです。ビタミン類やミネラル、食物繊維の他、たんぱく質も多く含んでいるようで、今では一年中流通していますが、本来の旬は初夏から晩夏。
スナップえんどう
1970年代にアメリカより導入された品種。グリーンピースを皮ごと食べられるものに品種改良されたもので、甘味が強くて栄養価が高く、歯切れが良いのが特徴で、成長しても鞘が硬くならない。
『スナックエンドウ』と呼ばれることが多いようですが、これは『サカタのタネ』が国内で初めて販売を行なったときの名称が『スナックエンドウ』だった為だそうです。
その後、色々な呼称名で呼ばれているものを昭和58年に農林水産省が統一名称として『スナップエンドウ』と定めたようです。
豆苗
えんどうの若い茎葉を5~10cm位で摘み取ったもので、えんどう独特の風味と柔らかい食感が特徴的。中国などでは豆苗収穫用の品種などで栽培されているようですが、国内ではサトウエンドウや絹さやなどの若芽も使用されているようです。
ミネラルやビタミン類、食物繊維を多く含んでおり、貧血予防やがん予防に効果があるとされています。
購入するときは、葉の色がみずみずしい緑色をしていて、切断面の新しいものを選ぶようにしましょう。また、根つきのものは葉と茎を切り取った後、浅い容器に移して水を小まめに上げておけば再度収穫することができるようです。
えんどうの収穫時期
さやえんどうは春(3月~6月)ごろが旬の時期ですが、栽培方法の工夫や輸入ものの出回り量も多く、現在ほぼ一年中市場に出回っています。また、グリーンピースも春(3月~6月)ごろが旬の時期とされています。
選び方のポイント
鞘が鮮やかな緑色をしていて、みずみずしく張りがあるもの。またガクの部分が枯れていないものが鮮度の良いものとされています。
また、グリーンピースは鞘がふっくらと張りがあり、変色のないものが鮮度の良いもののようですが、中の豆を使用しますので、鞘を剥いて豆の状態を確認してから購入したほうが良いようです。剥き実で販売されているもので白い根が伸びているようなものは日にちが経っている可能性が高いので避けるようにしましょう。
えんどうの保存方法
さやえんどうは、収穫後から時間の経過とともに表面から蒸散して、水分が失われていきます。表面からの蒸散を防ぐように保湿して、ビニール袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室などで保存すれば1~2日は鮮度を保てるようです。それ以上の期間保存しておきたい場合には、堅めに茹でてから冷凍保存しておけば風味も損なわれず保存しておくことができます。
また、グリーンピースなどは鞘つきのまま保存して、使用する直前などに鞘から豆を剥くと、比較的鮮度を保つことができるようです。