にんじん

人参の歴史

人参はせり科の植物で、原産地国は中央アジア、現在のアフガニスタン付近とされています。その後、ヨーロッパとアジアに広がり、ヨーロッパへ伝えられたものは、西洋種アジアへと広がったものは、東洋種と呼ばれています。

日本へは1,600年ごろ中国からまず、東洋種が渡来しました。当時渡来したものは今で言う、金時人参のようなものだったようです。

その後、明治時代に入ってから"欧州種"が日本に入ってきて、現在に至るまで様々な品種改良が行われています。特に今、流通している人参のほとんどが、西洋種です。

人参の呼び名

江戸時代に、中国から日本へ渡来した人参は、胡蘿蔔(こらふく)というものでしたが、古くから日本では朝鮮人参のことを、人参と呼称していましたので、それと区別する為に、芹人参と呼ばれていたようです。

その後、芹人参の方がポピュラーに為ってきたので、頭の『芹』が取れて、人参と呼ばれるようになったようです。

ちなみに日本に昔からある、朝鮮人参はウコギ科の多年草なので、せり科の人参とはまるで別の物です。

人参の色

人参は鮮やかなオレンジ色をしていますが、これは、カロチンと呼ばれる色素で、人参の英名、キャロットの語源にも為っています。

カロチンは体内でビタミンAに変化しますが、カロチン自体も体内で重要な役割を果たしています。

カロチンの中にβ―カロチン・α―カロチン・リコピン等のものがあり、これらのものは体の免疫力を高め、がん予防に効果があるとされています。

ちなみにこれらの物質は人参の皮の部分に多く含まれていますので、皮をきれいに洗ってそのまま調理に使用すると、多くのカロチンを摂取することができます。

人参の葉

人参の葉には、根系部分の約2倍以上のビタミンAがあり、その他カルシウムは根系部分の約5倍、たんぱく質は根系部分の約3倍など多くの栄養素を含んでいます。

葉付きの人参は余り市場に出回りませんが、入手出来たときは刻んで、炒め物やてんぷらなどにするとおいしく食べられます。特に春先のものは柔らかくおいしい。

人参の種類

西洋五寸(セイヨウゴスン)

現在日本で最も流通している品種が五寸人参と言われる品種です。各地の気候や風土に合わせて品種改良が行われていますが、根系の長さが大体15~20cmで根の先端が丸くなっているものが多い。

金時人参(キントキニンジン)

東洋系人参の唯一の実用栽培品種で、関西以西などで「京人参」という名前で栽培されている秋冬人参です。

根系部分は約30cmで細長く、鮮やかな紅色をして、肉質は柔らかく、よくお正月のおせち料理に飾りなどとして使われます。

ミニキャロット

根系部分の長さが7~10cm位で長細い。人参特有のにおいが少なく、甘みがあり、生食用としてよく用いられます。また、ベビーキャロットとも呼ばれています。家庭菜園などでも作ることができます。

葉付き人参(ハツキニンジン)

人参の若葉を切除せずにそのまま付けて出荷されたもので、春先や秋口に稀に市場に出荷されます。(昨今では有機野菜を売るお店などで入手できます。)

てんぷらや、さっと茹でておひたしや和え物などにするとおいしく食すことができます。

島人参(シマニンジン)

沖縄の在来種で黄色く、細長い人参。耐暑性が強く、甘みが多いのが特徴で、沖縄の家庭では煮物や炒め物に良く使われているようです。

沖縄の方言名「チデークニ」は「黄色い大根」の意味。

大長人参(オオナガニンジン)

長さ約60~70cmと、西洋系の人参の中では最も長い人参で、甘みが多く肉質も良い。しかし栽培に手間がかかるので、現在では正月用にわずかに出荷されるのみです。

選び方のポイント

表面の色が濃く鮮やかな赤色の物ほどカロチンの含有量が多いと言われています。

又、人参の表面が滑らかで張りがあり、ひげ根の少ないものを選ぶようにしましょう。ちなみに、ひげ根の少ない状態で育ったものは、その育てられた環境が良いことを示します。

後は、葉と根の境目の太さを注目しましょう。なるべく茎の細いものはそれだけ芯も細く、柔らかい傾向があります。

皮を薄く剥ぐ

皮を剥く場合、人参の皮や皮に近い部分には多くのβカロチンが含まれていますので、皮むきはできるだけ薄く剥くとβカロチンを多く摂取することができます。

人参の保存方法

夏の時期はポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。また、冬の時期なら風通しの良い暗い場所で保存します。

なるべく鮮度を保つには冷蔵庫での保存が一番ですが、ポリ袋などに水滴がついたままの状態で保存すると腐敗しやすくなりますので、こまめに水滴を取り除くか、ポリ袋そのものを交換してあげるとようでしょう。

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