わさび

わさびの歴史

わさびはアブラナ科の多年草で、もともと日本の山野などに自生していたもので、鎌倉時代頃から食用として使用されていたようです。その後、江戸時代に入り人工的に栽培されるようになり、現在では静岡県や長野県などで特に多く栽培されています。

わさびの種類

「西洋わさび」と区別するため、日本で栽培される「わさび」を「本わさび」と呼称されることが多いようです。

その「本わさび」ですが、栽培されている種類もたくさんありますが、大きく分けると、生育が比較的早く、(大体1年ほどで収穫できる。)大きく成長する実生系(みしょう)と、成長に実生系の2倍ほどかかる、風味の良い真妻系(まずま)に分類されるようです。

また、湧き水などの流水の中で栽培されるわさびの他に、畑などで栽培されるものもあり、流水の中で栽培される「水わさび」は薬味としての生食用、畑で栽培される「畑わさび」は主に「わさび漬け」などの加工用として使われることが多いようです。

わさびの呼称名

わさび(山葵)の語源は、葉の形状が徳川家の家紋で有名な「葵(あおい)」に似ているので「山葵」と呼ばれているそうです。

わさびの辛味成分

わさび独特の、「ツーン」と鼻にぬける辛みの成分は「アリル芥子油(がいしゆ)」と呼ばれる物質で、わさびを摩り下ろすと細胞が破壊され、中に含まれている「シニグリン」が「ミロシナーゼ」と呼ばれる酵素に分解されて、「アリル芥子油(がいしゆ)」に変化して、わさび独特のからみが生じるそうです。ただしこの辛味成分は揮発性が高く、発生してから数分しか辛味を従属できません。

西洋わさび

西洋わさびとは、東ヨーロッパ原産のいわゆる「ホースラディッシュ」のことで日本では主に北海道などで栽培されています。摩り下ろすと大根のように白く、価格も「本わさび」に比べると安価なので、加工用として使用されることが多い。

本わさびの使い方

購入してきたわさびの表面を綺麗に水洗いして、皮付きのまま摩り下ろします。(古くなったものや、表面の黒くなったものはその部分を取り除いて使います。)

よく、茎の方から使用しますが、これは茎のほうが鮮度がよいからで、辛味成分などはどちらも同じくらいです。

また、おろし金は「本鮫皮のおろし板」を使用して、円を描くように摩り下ろしますが、これは、細かい目のおろし金で空気を含ませながらゆっくり摩り下ろすことで、わさびの細胞が壊れ、独特の辛味や風味を引き出すことができるからだといわれています。

摩り下ろした「本わさび」は3~5分ほど待つことで「辛味成分」などの風味が増しますし、しょうゆにといてしまうと風味が半減しますので、摩り下ろして暫くたったものを具材に直接つけて召し上がったほうが風味を一番楽しめるようです。

チューブわさび

チューブに入ったおろしわさびの原材料は「西洋わさび」と「本わさび」そして「辛子」が使用されています。「西洋わさび」は「本わさび」に比べて価格も安く、含まれる辛味成分もほぼ同じなので使用されているようです。(色味は白っぽいので緑色に着色されている。)

辛子が使われるのは(極少量のようですが…)、わさびよりも油分が多く含まれているので、わさびの辛味成分の揮発性を抑制することができるからだそうです。従って、練りわさびはしょうゆにといて使用しても、辛味成分が飛ばずにおいしく食べられます。

わさびの食用部位

薬味として根茎部分を使用しますが、これと同様に葉や茎部分にも辛味成分が含まれていて、食用として使います。わさびの茎は粕漬けにして「わさび漬け」に、葉部分は茹でて調理するか、てんぷらなどにしてもおいしく食べられます。また花の咲く春の時期には、花(白くて小さい蝶のような花)も食用にできます。

わさびの食効果

わさびには、ビタミンCやカルシウム、カリウム、マグネシウム、食物繊維、糖質、たんぱく質などが多く含まれています。また「アリルイソチオシアネート」などの辛味成分には強い殺菌効果が認められているようです。

主な食効果としては、食欲増進、防臭効果、抗菌・抗カビ効果、抗がん効果、血栓予防効果(血液の凝固を防ぐ物質が本わさびに含まれている。)などがあり、特に、物の腐敗を防ぎ、食中毒などの原因菌の繁殖を防ぐ抗菌効果は良く知られています。

鮮度の見分け方

色が鮮やかな緑色でみずみずしいもので、先端が薄い緑色のものが鮮度の良いものされています。また、形状が先端から根元まで均等な太さで「ずんぐり」としたもので、「いぼいぼ」の間隔がより密なものを選ぶようにしましょう。

わさびの保存方法

表面の水分をふき取り、キッチンペーパーなどで保湿して密閉できる容器(パックやポリ袋)にいれて表面の乾燥を防ぎ、冷蔵庫で保存をすると、大体数週間~一ヶ月ほどは保存することができます。

ページのトップへ戻る